2025/09/27
インフルエンザワクチンについて:
65歳以上の方及び15歳未満(中学3年生までの方)の方には居住する自治体(当院のあるひたちなか市だけでなく、茨城県内であればどこの市町村でもOKです)より接種補助券(いわゆるクーポン)が郵送されますのでそれをご利用ください。15歳以上64歳までの方には通常接種券は発行されません(ですので全額自費で受けることになります)が、特殊な状況で発行される場合がありますので居住されている自治体の健康福祉課などにお問い合わせください。
接種は事前予約制です。電話、あるいは当院窓口に接種希望をお伝えください。接種日と時刻は当院スケジュールの兼ね合いで必ずしも御希望通りにならないことがあります。料金は子供1回3300円(皮下注射のワクチンの場合、2回目の接種は通常、1回目の接種の後2-4週間ほどの間隔を置きます)です。大人は1回4600円です(クーポン使用の場合は設定された自己負担額内のお支払いとなります)。
クーポンの使用有効期限は6年1月31日までです。
なお今年からこれまでの皮下注射ワクチン(不活化ワクチン)に加え、点鼻式のワクチン(第一三共社製のフルミスト)の接種も希望された場合可能となりました。対象者は2歳以上18歳までです。接種方法は左右の鼻腔に1噴霧づつスプレーするというもので、⓵痛みを伴わない(針を使わない)。⓶子供の場合(13歳未満)、皮下注射ならば2回接種が原則だが1回ですむ。⓷鼻腔内投与という経路から従来型の皮下注射と異なり粘膜に存在する局所の免疫(気道分泌型IgA抗体など)を獲得できる。⓸粘膜免疫に加え血中の抗体IgG抗体)も誘導されるためウイルスの体内侵入を抑える効果ともし感染しても重症化を抑える効果の両面が期待できる。⓺効果持続期間が不活化注射ワクチンより長いと報告されており理論的には1シーズン効果が持続することが期待される。⓻生ワクチンであるためワクチン株と流行ウイルス株が完全に一致しなかった場合でも発症抑制や重症化抑制の面である程度の効果を発揮しやすい。などが長所となります。
一方短所ですが、⓵喘息や気管支疾患、重度の呼吸器疾患を持つ方には禁忌(=接種不可)や慎重投与となることがある、⓶何らかの原因で免疫機能が低下している方には適用できない、または効果が低くなる可能性がある(これは注射型ワクチンも同様です)、⓷過去に重篤なアレルギー反応を起こしたことがある場合、使用できないことがある(茨城県では今シーズンが初めての使用となりますが、他県、例えば東京都では昨シーズンから用いられていたので昨シーズンこの経鼻ワクチンを用いて体調不良を起こしたことがある方はご遠慮ください)。⓸抗ウイルス薬(インフルエンザ薬)を直近に使用していた場合接種のタイミングを調整する必要がある。⓹副反応ととしては鼻水/鼻詰まりが多く時に咽頭痛、頭痛、発熱、倦怠感なども報告されている。⓺接種後小児では鼻咽頭分泌物中にワクチンウイルスが最長3-4週間排泄される可能性がるため、重症免疫不全者との接触を1-2週間ほど避ける必要がある。⓻接種後しばらくの間、抗原検査やウイルス検査でワクチンウイルスが陽性と判定される場合がある。⓼ゼラチンを用いているのでゼラチンアレルギーのある方は禁忌。⓽接種時にひどい鼻水の状態では接種後のワクチン株がすぐ排出される可能性が考えられるため、鼻炎が治まってからの接種が望ましい(私見になります)。となります。
当院では既に薬の問屋さんにこの経鼻ワクチンの発注をしておりますが、有効期限が注射ワクチンと比べ短いことがもう一つの短所(医療機関にとって)となります。1月以降にインフルエンザの流行のピークを迎えるので遅くとも12月までの接種をお心がけ下さい。なお新聞やテレビなどでの報道では今シーズン、インフルエンザの流行が早いであろうとの予測が出ております。他県では9月中にワクチン接種を開始するところもあります。蛇足ですが15歳以上18歳までの方は自費扱い(1回7000円)ですがこの点鼻ワクチンの接種が可能です。諸外国では19歳以上への接種も可能なところがあるのですが、日本においては18歳までとなっており、それ以上の年齢の方への接種は許可されておりません。
新型コロナワクチンについて:
昨年に続き、今年も65歳以上の高齢者のみ住民票で登録されている自治体より接種補助券が郵送されることになっております。また60~64歳の方でも腎不全や肝不全、重症免疫不全などの重い基礎疾患のある方には補助接種券が郵送されます(自身が対象になっているかどうかは自治体の健康福祉課など予防接種を扱う部門に電話をしてお尋ねください。当院へのお問い合わせには対応できません)。新型コロナワクチンはインフルエンザワクチンと比べもともと高額であるため、自治体よりの補助額を差し引いてもかなりのお支払いになるため接種をためらう方も多いのではないかと考えますが、率直に申し上げて支払額に見合う効果が期待できます。実は新型コロナは2023年5月をもってそれまでの感染症2類指定より、インフルエンザなどと同じ5類指定になったので病気の怖さも軽くなっていると考えられがちですが、実情は違います。なんと2024年度は約35000人の方が新型コロナで亡くなっております(全死亡の約2%に相当)。そのほとんどが高齢者です。インフルエンザによる死亡者よりはるかい多い状態です。ですから厚生労働省は高齢者に補助券を配布しているのです。もう一つ私が講演会などで最近聞いた話題の一つですが新型コロナにかかった高齢者は認知症になりやすいというものです。命が助かってもその後の生活に差しさわりがあるのは困ります。いくら、新型コロナの治療薬がたくさん開発されたとしてもかかってしまってからではそういう後遺症の心配があり得ます。ワクチンは100%発症を予防するというものではないのですがワクチン接種を行わないよりは格段に予防効果が高まります。ぜひ接種をご検討ください。これは自費で受ける必要のある64歳以下の健康な方にも当てはまります。
新型コロナワクチンは現在5社から発売されております。既に4シーズン以上使われてなじみの深い、ファイザー社製のコミナティ、モデルナ社製スパイクバックス、及び第一三共社社製ダイチロナ(これのみ昨シーズンより使用)の3つはmRNA型のワクチンです。武田薬品のヌバキソビッドは組換え蛋白(サブユニット型)ワクチンで副反応が比較的穏やかな可能性と効果持続期間が他ワクチンと比べ長い(ほぼ1年)という長所を持っています。明治製薬のコスタイベは自己複製型mRNA(レプリコンmRNA)ワクチンです。これも長時間の持続性(ほぼ1年)が期待されるものです。昨シーズンは「体内で無限にスパイクタンパクが作られるのではないか」「接種者から他人にワクチン成分が伝播するのではないか」という懸念が一部で出ましたが厚生労働省の Q&A (ホームページに記載されています)によれば、これらの懸念に対しては設計上制御されており、通常の使用では問題ないという見解が示されています。
費用はどのワクチンも同じで15600円です(上記65歳以上の方と60-64歳の特定条件の方は自治体よりの補助額を差し引いた額になります)。
クーポンの使用有効期限は26年3月31日までです。